予防歯科とは、虫歯や歯周病の治療ではなく、発症を予防するためのケアのことです。歯科医院での専門医によるプロフェッショナルのケアは確実とはいえ、毎日行うのは難しいですよね。そこで、日常的に自分で行うことができるセルフケアが重要になるのです。
特に、歯垢は歯肉炎などの歯周病の直接的な原因となることから、しっかりとケアをする必要があります。ここでは、歯垢除去におすすめのデンタルケアを、セルフケアとプロケアの2つに分けて紹介。できることから1つずつチャレンジしてみて下さい。
予防歯科の中で、歯磨きによる歯垢除去が最も重要なケアです。毎日しっかり歯磨きをして歯垢を落とすことで、虫歯や歯周病を予防することができるのです。特に、「歯と歯の間」「歯と歯ぐきの境目」「奥の臼歯の噛み合わせ」は歯垢を落としにくいので、意識的に磨く必要があります。
また、歯並びが悪い部分・歯間・奥歯など、普通の歯ブラシでは歯垢を落とせない部分を磨く場合は、「タフトブラシ」「ヘッドが小さめの歯ブラシ」「振動式・音波式の電動歯ブラシ」などの、いくつかの種類の歯ブラシ組み合わせて磨くことをおすすめします。また、歯ブラシは1ヶ月程度の買い替えが必要です。
どんなに頑張って歯を磨いても、普通の歯ブラシで歯垢を落とすことができないのが「歯と歯の間」。そのため、歯磨きの際は歯間ブラシやデンタルフロスの使用が欠かせません。歯ブラシだけでは6割程度だった歯垢除去率が、歯間ブラシとデンタルフロスを使うことで8割以上までアップします。
歯間ブラシは入らない部分に無理に入れたりせず、歯ぐきの状態に合ったサイズ選びが必要です。また、デンタルフロスの初心者には、指に巻き付けて使う糸巻タイプよりも、Y字型などのホルダーにセットされたタイプがおすすめ。無理矢理に挿入すると、歯ぐきを傷つけてしまう恐れがあるので注意しましょう。
歯垢は、白または黄白色なので目視での確認が難しいことから、歯磨きの後の磨き残しのチェックは歯垢染色剤の使用をおすすめします。歯垢を染め出すことで、磨きにくい部分や自分の歯磨きの癖が分かることから、正しい歯磨きの方法の再確認にもつながるのです。
染色剤は大きく分けて、直接塗布する液体やジェルのほか、水で薄めてからすすいで使う液剤や、口の中で噛み砕いく錠剤があります。最近は、フルーツのフレーバーが付いたものや、義歯専用タイプなどがあるので、使う人の年齢や環境に応じて使い分けるとよいでしょう。
歯垢除去と合わせて行いたいのが、歯垢がつきにくい口内環境を作ること。特におすすめなのが、ガムやタブレットでお馴染みのキシリトールです。白樺や樫の木から取れる天然素材のキシリトールは、虫歯菌を減らして虫歯ができにくくするだけでなく、プラークの形成を抑える効果があります。
特にガムは、繰り返し噛むことで唾液の分泌が増えるので、口内環境がさらに良い状態に。また、砂糖などの糖類を含まないキシリトール製品を選べば、糖尿病の方でも安心して口にすることが可能です。キシリトールは、長期間に渡り効果的に摂取を続けることで、確実に歯垢を減らすことができます。
歯垢除去と違って、歯石取りは自分でするのが難しいことから、プロの施術を受ける必要があります。歯石除去には、スケーラーと呼ばれる器具で歯の表面の歯石を取り除く「スケーリング(SR)」と、キュレットと呼ばれるスケーラーの一種で歯周ポケットの歯石を除去する「ルートプレーニング(RP)」があります。
「歯石除去は痛い」と思われがちですが、健康な状態の歯ぐきなら痛みや出血はほとんどありません。どちらも歯周病の治療に用いられる施術で、軽度の歯肉炎はスケーリングで改善が見られますが、歯周病が進行している場合は、麻酔を使った歯周ポケット深部のルートプレーニングが必要になります。
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)とは、スウェーデンの歯科医師が提唱した予防歯科の方法で、特別なトレーニングを受けた歯科医師・歯科衛生士により、機械的な器具とフッ素含有研磨用ペーストを使って歯肉縁上・歯肉縁下1~3mmのプラークを選択的に除去するのが基本です。
歯垢だけでなく、コーヒー・お茶などによる着色汚れ「ステイン」やタバコのヤニの除去にも効果的。歯の表面の研磨や歯周ポケットの洗浄などによって、普段の歯磨きでは落とすことができない汚れをスッキリ除去すれば、ツルツルの白い歯を取り戻すことができるかもしれません。
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