歯磨きによる歯垢除去は、歯肉炎・歯周炎の予防や治療に効果的ですが、せっかく丁寧に歯磨きをしても、合わない歯ブラシを使っていると歯垢をきちんと落とすことができないことから、歯ブラシや歯磨き粉の選び方を知っておく必要があるのです。
ここで紹介する歯ブラシや歯磨き粉の選び方を参考に、歯垢のないきれいな歯を目指しましょう!
現在、さまざまな特徴の歯ブラシが販売されていますが、普段歯ブラシを購入する際、何を基準に歯ブラシを選んでいますか?ヘッド・ブラシ・グリップなどの、大きさや形の違いによって歯垢の除去率が異なることから、自分に合ったものを選ぶことをおすすめします。
歯ブラシのヘッドはコンパクトなタイプが良いと思われがちですが、必ずしも小さければ良いというわけではないのです。歯に対するブラシの接触面積が広いと、多くの歯垢を効果的に落とすことができることから、目安としてヘッドの長さは奥歯2本分の幅で、3列程度の植毛の歯ブラシを選ぶことをおすすめします。
歯ブラシで細かな部分までしっかりと磨くためには、磨く場所によって歯ブラシの「つま先」や「かかと」、「わき」の部分を使い分ける必要があります。そのため、ギザギザの山切りカットになっているタイプや、ドーム型、段差がついているタイプではなく、毛先が真っ直ぐカットされたストレートタイプがおすすめです。
硬い毛の歯ブラシで歯を磨くと、何となくきれいに磨けたような気分になりますが、実は細かな部分まで毛先が届かないため、磨き残しが多くなりがちです。さらに、歯ぐきへの負担が大きいことから、毛にコシがある普通の硬さがおすすめ。また、歯ぐきに腫れや出血など炎症が見られる場合は、やわらかめのタイプで優しくしっかり磨きましょう。
歯ブラシは磨く歯の位置によって、鉛筆を持つような「ペングリップ」と手のひらでギュッと握る「パームグリップ」の2つの持ち方があります。歯ブラシを小刻みに動かしたり、軽い力で磨くことができるかどうか、購入の際に、店頭で2つの握り方を試してみるとよいでしょう。必ず持ちやすくて自分の手に合った歯ブラシが見つかるはずです。
さわやかなミント味が一般的な歯磨きは、磨いた後にスーッとスッキリする反面、磨き残しがあっても気付きにくいというデメリットがあります。また、つわりがひどい妊婦さんなどは、辛みが強すぎると長時間の歯磨きの妨げになることから、時間をかけてしっかり歯磨きをする必要がある人には、辛みの少ないタイプがおすすめ。
また、歯磨きの際に歯から溶け出したカルシウムやリンなどの、ミネラルを再沈着させる効果があるフッ素配合の歯磨き粉で、意外と知られていないのがすすぎの回数です。歯を磨いた後で何回もすすいでしまうと大切な成分が流れてしまうので、すすぎは1回までにしましょう。
歯磨きが難しい「歯間」「奥歯」「歯と歯ぐきの境目」は、歯垢の磨き残しが多くなりがちな場所のため、普通の歯ブラシ以外を使った歯磨きや、歯ブラシの角度を変えた歯磨きなどの工夫が必要です。
また、歯磨き後の磨き残しが気になる場合は、歯の表面や歯と歯の間を舌の先で触ってみたり、歯垢染色剤によるチェックをおすすめします。どんな場所にどのような磨き残しがあるのかが分かるので、普段の歯磨きの癖や歯ブラシが届いていない部分が明確になります。
歯ブラシだけではどうしても落とすことができない歯間の歯垢は、デンタルフロスがおすすめ。フロスは無理に挿入せず、小刻みの動かしながら歯間に入れるのがコツ。歯の左右の側面をこするようにフロスを2~3回移動させます。デンタルフロスには、指に巻き付けて使う対タイプとY字型などのフォルダーにセットされたタイプがあるので、歯の状態や使いやすさで選びましょう。
臼(うす)のような形をした奥歯は、歯のくぼんだ部分に裂溝と呼ばれるデコボコの溝があるため、歯垢がたまりやすいことから、歯ブラシでしっかり汚れを落とす必要があります。歯ブラシの毛先を裂溝に当てるようなイメージで、歯ブラシを口に入れる角度を変えながら小刻みに動かすのがポイントです。
歯と歯ぐきの境目に付着する歯垢は歯周病の原因となることから、毎日の歯磨きでしっかり落とす必要があります。歯と歯ぐきの境目に歯ブラシを45度の角度で当てて小刻みの動かしながら磨くと、1~3mm程度の深さの歯垢ポケットなら、歯ブラシでも歯垢を落とすことはできます。
ただし、歯周病が進行した4mm以上の深さの歯周ポケットは、歯ブラシのよる歯垢除去が難しいだけでなく、無理に歯ブラシを押し付けると歯垢を奥に押し込んでしまう可能性があることから、定期的に専門医による掃除を受けるなどの歯周病治療が必要です。
Copyright (C) 2014 デンプラ読本 All Rights Reserved.